2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧
【概要】 異開王"オルム"を頭領に、ゲオメトリアを中心として活動する組織。異暦90年に発足され、VICEとは緊密な関係にある。 VICEが掲げる思想や支配、力に感化された一般人などをテロリストとして雇用する。 そして国の都市や街などの治安や情勢を撹乱、ま…
プロローグ https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004558 一話 https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004645 二話 https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004742 三話 https://kyomunohate.hatenablog.com/e…
結論から。わしは謹慎処分で済んだ。 わしが属する呀の派閥の頭領と、聖職者のようないでだちの男が接触していたと聞く。 恐らく『狂』の派閥の騎士団の頭領じゃろう。ハルフリーダを思い出す。 気になってどういうことかと訊けば、命令違反であるが重大では…
「やはり貴様でしたか。私にはその動機はほとほと理解できませんね」 入り口からハルフリーダが現れる。 白銀の鎧、切り揃えた美しい銀髪。兼ね備えた美貌も、今は怒りと軽蔑に染まりきっていた。 「何故、分からぬのです。この世に"平等な幸福"をもたらすの…
七話 "VICEが作り上げる平穏と幸福"。 あまりにも矛盾していて、歪んだ目的に氷極は呆気に取られた。 すぐさま、心の底から怒りがこみ上げる。 「……分かってはいる。敵にも多様性があることは。だがお前の言っていることは、理想論にもならない。現実から目…
「……まだ、何かあるのか?」 腰に手を当て、シュエは氷極を見下ろす。 だがそこに敵意も殺気も微塵もない。共にドルゾートを目指した旅路のような、穏やかな雰囲気をまとっていた。 「いいや。わしは、わし以外のものを尊重するあまり自分が見えていなかった…
穏やかな湖面が、山に囲まれて姿を現した。氷極は湖に足をつけて山々を眺めるシュエと再会する。 女騎士の追撃がないことを確認し、慎重に北に進むと現れた道標に従い到着。確かに湖自体はさほど大きくはなく、自然に囲まれ、人気もないので丁度よかった。 …
翌日。 どんよりとした灰色の空が、二人を重く見下ろしていた。 雨になることはなさそうだが、陽を嫌う生物たちが活発化することを考慮して足を急がせる。 今までは険しい岩山が点在し、荒野にしては見通しが悪かったが、緑が増えるにつれ徐々に開けた土地と…
「ぬ、ぬし……なにをしておる?」 その問いかけに彼は応答しない。代わりに真っ黒な視線がシュエを捉えた。美しかった紫は変色し、生気が干からびている。冷ややかで、ただ機械的にその意志を実行していた。それを感情と呼べるものなのか、それすらも怪しい程…
「ほれ。はようここまで来い」 「あぁ……分か、ってる。ま、待て……」 息を切らしながら、手がかりを探す。なんとか握り、再び体を上げる。また、手がかりを探す。気が遠くなるほど、これを繰り返している。時間も体力も奪われていくのを知りながら、ただ彼女…
星空。 目を覚ました氷極の視界に飛び込んだ、最初の景色だった。目を瞬かせていると徐々に生きているという実感と、過去の記憶が氷極の中に蘇ってくる。自分の悪運の強さに内心やりきれない安堵を覚えた。 「……熱?」 先ほどから右頬に暖かさを感じていた。…
「……投降しろ。"グレイ・ジャック"。お前に逃げ場はない」 グレイ・ジャックと呼ばれた男は後退る。 数歩のところで、その先に足場が存在しない事を察知した。悔しさに奥歯を噛み、目前の集団、KR特殊部隊"E5"の面々を恨めしそうに睨みつける。 「ほんっとに…
名前:ヴァーミリオン・エア コードネーム:『紅』 性別:女 年齢:16歳 所属:KR 特殊部隊『E5』 種族:人 身長:152cm 体重:48kg 『性格』 好きなもの 生還 甘いもの 頼られること 嫌いなもの 虫 信念がない者 ☆概要 元お嬢様という経歴持ちで、清楚系かつ…
「星撒きの、巫女?」 大人びた少女の顔と、その名前を聞いてアルデスの思考は行き詰まる。 巫女と呼ばれた少女はくすくすと、からかうように笑う。 「聞いたことないかな? 私、夢でそう言ってなかった?」 「……そんな事は一言も言ってなかった」 「そ。ま…
名前:マヴ・ヘヴン コードネーム:『氷極』 性別:男性 年齢:23歳 所属:KR 特殊部隊『E5』 入団:異暦94年 好きなもの:読書 抹茶 獣人が作る文化 音楽 煙草の銘柄 ゲーム 野球 風呂 嫌いなもの:呪い 自分と相反するもの 異暦94年:入団 異暦99年:死亡 …
『あらすじ』 一人の異形がいた。その存在は人を嫌悪しながら、自らの温情に苦しむ。胸の内に宿る謎をいつも闇に叫んでいた。 そんな時、異形は自らの手で壊滅させたある村で一人の少女と出会う。生きたいと強く願う少女の命に惹かれ、異形は徐々に自らの心…
娘が復帰すると同時に、私の過酷な任務が始まった。辛く、苦しく、何度も心が折れそうになった。信じていた者たちから、居場所すらも奪われていく。私の心と生命が摩耗する音が鮮明に聞こえて、鬱陶しい。 そして任を終えて帰還すれば、いつだって娘が迎えて…
五話 「栄養失調」 人間の構造について造詣の深い分体は、ベッドに横たわる娘を一瞥して言った。 私も同じく、細めた瞳で娘を見やる。 「とりあえず必要な栄養分は補った。心配はいらん。だが、人間には"食事"という行為が必要不可欠だ。その栄養を摂取する…
様々な匂いと色が空気と地面に立ち込めていた。見晴らしの良い野原に、花々が群生している。人はこのような景色を、花畑と呼称するらしい。 心地の良い風にうたれながら、私は花に意識を奪われる娘を無感情に見つめる。 「勘違いはするな。植物は水や肥料、…
三話 ゼルディス様との問答を終え、私たちは娘の為に用意された部屋へと移る。 今後は監視という目的で、私も娘と同じ空間で暮らすことになった。 人という種族に排他的で、侮蔑の対象ともなれば当然の処置だ。私も別の同胞が同様の行為に及べば、胸中で躊躇…
二話 そんなことをしているうちに、『殖』の派閥の拠点へと到着する。 この派閥が属する組織、VICEが支配するこの北部地域に人が住める場所などないと高を括っていた。……だからこそ、この娘の故郷が滅亡する要因となったか。 そんな思考は周囲からの視線で途…
大きな根が村の地形を蹂躙する。悲鳴も、嘆きも、叫びも、全てはその隆起に呑まれてことごとくが失せた。 「……ふん。こんなところか」 足元から伸びる根が捉えた人間を無造作に放る。まるでミイラのように朽ち果てた死体が転がり、屍の山の一つなった。 山の…