雑置き場

触発されたり、思いついたり。気分なので不定期更新。

2024-04-01から1日間の記事一覧

Enigma URLまとめ

『あらすじ』 一人の異形がいた。その存在は人を嫌悪しながら、自らの温情に苦しむ。胸の内に宿る謎をいつも闇に叫んでいた。 そんな時、異形は自らの手で壊滅させたある村で一人の少女と出会う。生きたいと強く願う少女の命に惹かれ、異形は徐々に自らの心…

Enigma 最終話

娘が復帰すると同時に、私の過酷な任務が始まった。辛く、苦しく、何度も心が折れそうになった。信じていた者たちから、居場所すらも奪われていく。私の心と生命が摩耗する音が鮮明に聞こえて、鬱陶しい。 そして任を終えて帰還すれば、いつだって娘が迎えて…

Enigma 五話

五話 「栄養失調」 人間の構造について造詣の深い分体は、ベッドに横たわる娘を一瞥して言った。 私も同じく、細めた瞳で娘を見やる。 「とりあえず必要な栄養分は補った。心配はいらん。だが、人間には"食事"という行為が必要不可欠だ。その栄養を摂取する…

Enigma 四話

様々な匂いと色が空気と地面に立ち込めていた。見晴らしの良い野原に、花々が群生している。人はこのような景色を、花畑と呼称するらしい。 心地の良い風にうたれながら、私は花に意識を奪われる娘を無感情に見つめる。 「勘違いはするな。植物は水や肥料、…

Enigma 三話

三話 ゼルディス様との問答を終え、私たちは娘の為に用意された部屋へと移る。 今後は監視という目的で、私も娘と同じ空間で暮らすことになった。 人という種族に排他的で、侮蔑の対象ともなれば当然の処置だ。私も別の同胞が同様の行為に及べば、胸中で躊躇…

Enigma 二話

二話 そんなことをしているうちに、『殖』の派閥の拠点へと到着する。 この派閥が属する組織、VICEが支配するこの北部地域に人が住める場所などないと高を括っていた。……だからこそ、この娘の故郷が滅亡する要因となったか。 そんな思考は周囲からの視線で途…

Enigma 一話

大きな根が村の地形を蹂躙する。悲鳴も、嘆きも、叫びも、全てはその隆起に呑まれてことごとくが失せた。 「……ふん。こんなところか」 足元から伸びる根が捉えた人間を無造作に放る。まるでミイラのように朽ち果てた死体が転がり、屍の山の一つなった。 山の…