雑置き場

触発されたり、思いついたり。気分なので不定期更新。

2024-04-22から1日間の記事一覧

THE Empty URL まとめ

プロローグ https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004558 一話 https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004645 二話 https://kyomunohate.hatenablog.com/entry/2024/04/22/004742 三話 https://kyomunohate.hatenablog.com/e…

THE Empty Side: Fugue

結論から。わしは謹慎処分で済んだ。 わしが属する呀の派閥の頭領と、聖職者のようないでだちの男が接触していたと聞く。 恐らく『狂』の派閥の騎士団の頭領じゃろう。ハルフリーダを思い出す。 気になってどういう経緯かと訊けば、命令違反であるが重大では…

THE Empty 最終話

「やはり貴様でしたか。私にはその動機はほとほと理解できませんね」 入り口からハルフリーダが現れる。 白銀の鎧、切り揃えた美しい銀髪。兼ね備えた美貌も、今は怒りと軽蔑に染まりきっていた。 「何故、分からぬのです。この世に"平等な幸福"をもたらすの…

THE Empty 七話

七話 "VICEが作り上げる平穏と幸福"。 あまりにも矛盾していて、歪んだ目的に氷極は呆気に取られた。 すぐさま、心の底から怒りがこみ上げる。 「……分かってはいる。敵にも多様性があることは。だがお前の言っていることは、理想論にもならない。現実から目…

THE Empty 六話

「……まだ、何かあるのか?」 腰に手を当て、シュエは氷極を見下ろす。 だがそこに敵意も殺気も微塵もない。共にドルゾートを目指した旅路のような、穏やかな雰囲気をまとっていた。 「いいや。わしは、わし以外のものを尊重するあまり自分が見えていなかった…

THE Empty 五話

穏やかな湖面が、山に囲まれて姿を現した。氷極は湖に足をつけて山々を眺めるシュエと再会する。 女騎士の追撃がないことを確認し、慎重に北に進むと現れた道標に従い到着。確かに湖自体はさほど大きくはなく、自然に囲まれ、人気もないので丁度よかった。 …

THE Empty 四話

翌日。 どんよりとした灰色の空が、二人を重く見下ろしていた。 雨になることはなさそうだが、陽を嫌う生物たちが活発化することを考慮して足を急がせる。 今までは険しい岩山が点在し、荒野にしては見通しが悪かったが、緑が増えるにつれ徐々に開けた土地と…

THE Empty三話

「ぬ、ぬし……なにをしておる?」 その問いかけに彼は応答しない。代わりに真っ黒な視線がシュエを捉えた。美しかった紫は変色し、生気が干からびている。冷ややかで、ただ機械的にその意志を実行していた。それを感情と呼べるものなのか、それすらも怪しい程…

THE Empty二話

「ほれ。はようここまで来い」 「あぁ……分か、ってる。ま、待て……」 息を切らしながら、手がかりを探す。なんとか握り、再び体を上げる。また、手がかりを探す。気が遠くなるほど、これを繰り返している。時間も体力も奪われていくのを知りながら、ただ彼女…

THE Empty 一話

星空。 目を覚ました氷極の視界に飛び込んだ、最初の景色だった。目を瞬かせていると徐々に生きているという実感と、過去の記憶が氷極の中に蘇ってくる。自分の悪運の強さに内心やりきれない安堵を覚えた。 「……熱?」 先ほどから右頬に暖かさを感じていた。…

THE Emptyプロローグ

「……投降しろ。"グレイ・ジャック"。お前に逃げ場はない」 グレイ・ジャックと呼ばれた男は後退る。 数歩のところで、その先に足場が存在しない事を察知した。悔しさに奥歯を噛み、目前の集団、KR特殊部隊"E5"の面々を恨めしそうに睨みつける。 「ほんっとに…