雑置き場

触発されたり、思いついたり。気分なので不定期更新。

2024-03-09から1日間の記事一覧

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/最終話 星撒きの巫女

気づけばアルデスは救護室のベッドの上であった。 白い天井。未だに朦朧とする意識の中で、今までの記憶の波をなんとか手繰り寄せる。 不思議な空間の中で、一人の少女の言葉のままに本のページを開いたのだ。光が満ち、そこから先の記憶は一切が途絶えてい…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第十一話 英雄は、絶つ

「アルデスっ」 悲痛に顔を歪めてリリが駆け寄る。 豪刃で破壊された壁や床には瓦礫が飛び散り、まともに攻撃を受けたリイナの泥の残骸とが無造作に撒き散らされていた。 倒れ伏すアルデスも、泥に巻き込まれながらも息を荒くするのみで負った傷も深くはなか…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第十話 此処に最果ては亡く

力無く倒れ伏すロドルス。重要な臓器を貫かれたようで、アルデスが駆け寄る頃には絶命していた。 遺言も残せず、謝罪することすらできず、自らの感情がロドルスを呆気なく殺した。豪快に笑っていた獅子頭は、静謐なままただ血の池を作っている。 怒りもない…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第九話 昏き底に虹はかからず

かろうじて体が動くが、無傷とはいかない。 貫かれた肩から滲む血。即座に距離を作り、リイナへと信じ難い瞳をくれる。 ど真ん中の一つ目はつぶらで、彼女の美しい翡翠の色を受け継いでいた。両側から剥き出した頬骨や顎などは、剣、槍、鎌……多種多様な武装…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第八話 嗤

要塞に入ると既に混乱状態だった。火の手が上がっていないだけマシだが、指揮系統は全滅だ。逃げ惑うものと、得物を持ち敵へと果敢に向かうもの、二者にくっきりと分かれている。 何よりも味方が立ち向かう敵に、アルデスは息を呑む。 それは人外、或いは異…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第七話 嘲笑う強襲

「……来い」 レヴォが命令口調に告げる。 すると、蒼い槍が迅雷を描きアルデスとの間合いに飛来した。 未だ雷を放つ槍を強く握ると、縦横無尽に振り回し宙を裂く。 淀みも、歪みもない動作には明確な殺意が宿る。レヴォの瞳は憎悪に支配されていた。 アルデス…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第六話 暗天

仮眠を取り、身支度をすれば、既に時刻は深夜を過ぎている。 遅刻しないように飛び出し、集合場所についた頃にはレヴォとリリが待機していた。 無言のレヴォを気にしながらリリと談笑していると、ロドルスと指揮官であるレンドヴェルが怜悧な目付きを湛えて…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第五話 過ちの泥濘

「えっと、大丈夫? ここでなにしてるの?」 努めて柔らかい口調で戦争孤児の女の子に声を掛ける。だが顔を足にうずめ丸まった状態の彼女は情報の一切を遮断していた。自壊寸前の自分を維持する為の現実逃避だろう。 女の子は何を見て、どんな悲劇を背負った…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第四話 奈落の戦線

拠点である要塞に帰還した翌日。滔々と時間が流れるのを許すまいと、VICEの激しい攻勢が始まった。 その攻防は苛烈を極める。一進一退。敵味方陣地問わず怒声や血、銃撃と鉄同士がぶつかりあう音が支配し、屍が戦場に積み上げられる。 折り重なる死の匂いに…

Road of Revive 二章 『星撒きの巫女』/第三話 出立

レヴォの一件から四日後。 アルデスたちの仮分隊の名前が決定された。 その名は"ミュルグレス"。そう、セナ・テレーズの愛剣から拝借したのである。そのことについて隊員からは不満はでなかった。関係者のリリも文句は一つも零さず、むしろ賞賛した。 その後…